説得力に欠ける「構造問題」説 多くのエコノミストが、構造的要因によって90年代以降の停滞が生じたと考えているようである。構造問題とは本来あいまいな言葉だが、日本経済が、新しいIT化や金融技術の発達に遅れ、これまでの技術においてアジアにキャッチアップされたがゆえに生産性の停滞が生じたと考えているようだ。彼らは、生産性を低下させるような構造問題が1990年代に生じ、それゆえに90年代の成長率が低下したと主張していることになる。新しい技術は80年代にも継続的に生まれており、アジアの国々は80年代にも日本へのキャッチアップを目指していた。結局のところ、彼らは、どのような構造問題が、日本の技術成長を抑圧し、成長率を3パーセントから1パーセントに低下させたのかを説明できないでいる。 唯一の例外は、昨年のノーベル経済学授賞を授賞したエドワード・プレスコット教授である。彼は、90年代初に行われた、労働時間を週44時間制から40時間制にした労働時間短縮が、その構造問題だと指摘している()。彼の指摘は90年代の初期については正しいかも知れないが、90年代の半ば以降についてはそうではない。労働時間短縮は1990年代初期の実質GDPのレベルと成長率を低下させたかも知れないが、その後の成長率を永続的に低下させることはできないだろう。。
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